最高のロックであるドロスグロップの評判

アメリカ・ニューヨーク発信でその規格外のサウンド展開で注目を集めているバトルス(BATTLES)。2004年にシングル「TRAS」でデビュー以降、もともとポストロックやメタルロックなど前衛音楽の系統を引き継ぐメンバーが集まって結成されたこのバンドの奏でる挑戦的な音は、各方面において評判を呼びました。

 

これまでにリリースしたシングル盤は3枚、EP盤は5枚、そしてアルバム盤は最新のリミックスアルバム「ドロスグロップ」を含めて3枚。順調にリリースを続けているようにも見えます。

 

しかし、この経緯の間には、2010年のタイヨンダイ・ブラクストンの脱退といった大事件も経ています。それでも、ポストロックやメタルロック、ポストハードコアといった前衛的かつ否定的な音楽ではなく、あくまで新しいジャンルを切り拓こうという姿勢を一貫して持ち続けて音楽を提供し続けているのがバトルスの気概です。

 

では、2004年のファーストシングルから主にどのような変遷をたどってきたのかを見ていきましょう。

 

「TRAS」(2004年・シングル)
バトルスのファーシトシングル。ループする一定のベースラインにギターやエレクトロも含めたさまざまな音が乗っていく展開ですが、実験的にセッションのような形で進んでいくのが印象的な曲です。

 

「EP C」(2004年・EP)
こちらも、それぞれの音は淡々と進みながらそれらの音の融合で不思議な重厚感が生まれているほか、エレクトロにポリリズムの不思議な感覚に引き込まれます。

 

「B EP」(2004年・EP)
前作より多少ポップなテイストも取り入れながら、わかりやすい曲構成ではないからこそ引き立つ音のクオリティ、淡々と刻み続けられるドラム音が心地よく、また攻撃的です。

 

「ATLAS」(2007年・シングル)
日本でも一躍バトルスの名を知らしめたシングル。ポストロックやテクノに傾倒していた彼らが「再びロックに戻ってきたらどうなるか」と当時語っていたように、エレクトロのループとギター・ドラムのハードな音の融合を実験した1曲です。

 

「MIRRORED」(2007年・アルバム)
「ATLAS」や「TONTO」などシングルカットされた曲収録されたファーストフルアルバム。従来より多用していたポリリズムなどの特殊な手法を封印した代わりに、タイヨンダイのボーカルを解禁するなど新たな挑戦を行ったアルバムです。

 

「TONTO+」(2007年・EP)
アルバム「MIRRORED」からのシングルカット。原曲のほか、リミックスバージョン3曲などが収録されています。

 

「GLOSS DROP」(2011年・アルバム)
タイヨンダイ脱退後初のフルアルバム。新たなバンドの方向性を模索しながら完成した本作は、以前のプログレ的な要素を抑えたイメージで、よりポップでキャッチーな音が積極的に取り入れられています。

 

「DROSS GLOP」(2012年・アルバム)
上記の「グロスドロップ」のリミックス盤で「ドロスグロップ」。メンバー自らがリミキサーを人選し、彼らにゆかりの深いハドソン・モホークやギャング・ギャング・ダンスのブライアン・デグロウなどそうそうたるメンバーを迎えた豪華版となっています。