ドロスグロップは、バトルスの元メンバーだったタイヨンダイ・ブランクストンが脱退した後、混乱しながらも完成させた、バトルスの傑作と評判の「グロス・ドロップ」のリミックス盤です。グロス・ドロップというオリジナルのタイトルをもじって命名されたドロップグロス。
ユーモアがあるのは名前だけではなく、デイヴ・コノプカのアートワークも評判となっています。ドロスグロップは、ハドソン・モホーク、ギャング・ギャング・ダンス、ヤマンタカ・アイ、フィールドやコード9、ギ・ボラットなどの有名なアーティストが参加。作品の質を高めています。単なるリミックス盤ではなく、もう一つの「グロス・ドロップ」と言われるのは、それが理由です。
バトルスのメンバーがそれぞれのアーティストたちを選んだ理由には、次のようなことがあります。サイレント・サーヴァントは、ロサンジェルスのミネアポリス出身。本名をジョン・ユアン・メンデスと言います。西海岸で活躍してきたアーティスト。
午後9時のベルグハイムのような宗教的な洞察に満ち溢れたサウンド、が欲しかったと言われています。カンディング・レイについては、ダークでアトモスティックな感触がその理由。大きなクラブにおいても、巨大で不気味に響く感覚をリミックスに欲しかったと言われています。デイブ・コノプカは長いクラスターのファンでした。
そのため、クラスターが自分たちのリミックスに興味を持ってくれたことに感動したと言っています。彼らがリミックスに参加してくれるのは、身の縮まる思いだったとか。クラスターは、バトルスのインスピレーションの源、とデイブ・コノプカは言っています。
デイブ・コノプカが絶賛するクラスターは、ローデリウスとメビウスによる、エレクトロニクス・デュオです。淡いメロディのローデリウスと、絶対的なメビウスのストレンジサウンドが絶妙に融合した独自の音楽を奏でます。
一部では電子音楽のオリジネーターと言われ、多くのミュージシャンからリスペクトされる存在です。ローデリウスとメビウスは、ベルリンの前衛アートクラブで知り合ったと言われています。ローデリウスの淡いメロディは、アンビエントの父と呼ばれ、メビウスのストレンジサウンドは、ストレンジ・エレクトロニクスの父と呼ばれています。ブライアン・イーノもクラスターと彼らの音楽に共感した一人。バトルスのデイブが憧れ、ドロスグロップに参加してくれたことは、とても大きな喜びになるのが分かります。